フリーランス・Webライター歴が3年以上ある筆者が断言しますが、日本でフリーランスとして満足に稼ぐことはかなり厳しいです。
もちろん、筆者の能力面にも原因があるかと思いますが、それ以外にも日本特有の社会的な要因があります。
今回は、筆者がフリーランスを経験をし、身をもって実感した日本でフリーランスが稼ぐ厳しさの理由と、それを打開する唯一の解決策についてご紹介します。
日本のフリーランスの現状
まずは、日本のフリーランスが厳しい理由・残念な現状について見ていきます。
フリーランスの年収
「フリーランス白書2023」によれば、2022年度の日本のフリーランスの年収は200万円未満が19.5%・200〜400万円が27.9%・400〜600万円が20.9%・600〜800万円が11.3%・800〜1,000万円が8.9%・1,000万円以上が10.0%となっています。
200万円未満が19.5%もいる一方で、800万円以上が18.9%存在し収入に大きな差が見られるのが分かります。
なお、収入に大きな差が生じる理由には、同調査の仕事獲得経路で分かる通り人脈の影響が大きいでしょう。
ただ、多種に及ぶ業種・約850人のみを対象に調査されている点に注意が必要です。
業種によって年収の割合は全く異なってきます。
例えば、「フリーランス白書2019」の調査では、Webライターの年収は200万円未満が32.0%・200万円〜400万円が26.9%となっており、年収400万円未満だけで全体の半分以上を占めています。
中抜き・買いたたきの横行
人脈が功を奏して一定の収入を得られる人がいる一方で、人脈がない人の場合はただただ中抜き・買いたたきの被害にあうケースもあると思っています。
それだけ中抜き・買いたたきが横行しており、その惨状はクラウドソーシングサイトを覗いてみればすぐに把握できるでしょう。
とはいえ、人脈がなければ、クラウドソーシングサイトなどに頼らざるを得ないのが実情です。
これこそが200万円未満の収入層が多く存在する理由だと思っています。
なお、中抜き・買いたたきの具体的な仕組みは次の通りです。
中抜きの構造とは
一般に言われる「中抜き」は、エージェント企業の手数料(中間マージン)を指すことが多いです。
ただ、中抜きには「不必要な仲介者が介入し、手数料などを取る」という広義な意味もあり、ここで言う中抜きはこちらの意味で使用しています。
フリーランスにおける中抜きは、まさに不必要な仲介者「管理職」によって行われます。
フリーランスの管理職(例:Webディレクター)は、経験が浅くても名乗ってしまえば誰でもなれるものです。
そうした自称管理職が大量受注・格安といった安易な売り文句で仕事を掻っ攫い、Webライターなどの末端労働者にさらに安く発注するというのがフリーランスの中抜き構造になります。
本来ならば、管理職自身の価値を取引相手に提供し、末端労働者の収入面に害を及ぼさないのが普通です。
しかし、実際は自称管理職が介入することで末端労働者の単価が下がり、その上で業務量が増えるといった不可思議な現象が起きています。
自身の価値を創造できないどころか、末端労働者の価値を下げているのであれば、残念ながら不必要な存在であり中抜きであると言わざるを得ないでしょう。
買いたたきは中抜きに付随して起こる
多くの場合、買いたたきは中抜きに付随して起こります。
例えば、クラウドソーシングサイトでは下記のような案件が散見されます。
これらは「指導が受けられる」「学べる」などと謳い、未経験者や初心者を標的にしてかなり低い単価で買いたたいているものになります。
本当に学びを与えられているのかはさておき、それが可能なのは一定の経験を得た管理職ポジションの人だけです。
こうした自称管理職による買いたたきが横行し、業界全体の相場がみるみる下がり、フリーランスとして稼ぐのが難しくなっているのが現状なのです。
また、明からさまなものだけでなく、テストと称して激安で発注するものや、一見適正な単価でも業務量が異常に多い買いたたき案件も存在します。
このような実情から、クラウドソーシングのみで満足に稼ぐのはもはや不可能に近いと言えるでしょう。
そもそもフリーランスが活躍できる土壌がない
フリーランスが厳しい根本的な原因は、日本の社会構造にあると感じています。
特に、大きく影響している部分では、日本特有のメンバーシップ型雇用と年功序列が挙げられるでしょう。
メンバーシップ型雇用は、新卒一括採用で能力のない人材を企業が育てて戦力にしていき、特定の業務だけでなく総合職のようにあらゆる業務を遂行させるのが主な特徴です。
年功序列に関しては言わずもがな、年齢に応じて役職や給料が上がっていく実に古典的なシステムになります。
この2つにぴったり共通するのは、どちらも労働者の能力が全く関係ないということです。
一方で、個人のフリーランスが売りにできるのは能力しかありません。
つまり、今も多くの企業でメンバーシップ型雇用と年功序列が採用される日本社会と、能力で勝負するフリーランスは真っ向から矛盾しているのです。
前項で挙げた案件からも分かる通り、日本でフリーランスに求められているのは安さでしかないのです。
このように、能力が正当に評価されない日本にはフリーランスが活躍できる土壌がなく、フリーランスになるのがそもそも無謀であると捉えることもできます。
SNSで稼げている風の人たちは何なのか
SNSをやっている人ならば、「フリーランスで稼げている風の人たち」を見たことがあると思います。
フリーランスの現状が厳しいものなら、あの稼げている風の人たちはいったい何なのでしょうか?
その答えはごく簡単で、大抵がポジショントークであり偽りの数字(収入)を掲げているだけです。
例えば、収入をひけらかして注目を集める行為には、フォロワーを増やしたい・周りの人にもフリーランスを目指して欲しい・情報商材を売りたいなどの様々な目的が考えられます。
そもそも、本当に稼げているのであれば収入をひけらかす必要はありませんし、公にしたところでフリーランスとしての能力が証明されるわけでもありません。
意味のない収入公開をするのには、誰かがフリーランスを目指してくれることが自身に都合が良いなどの理由が必ずあります。
ネズミ講のような組織の場合も
中には、フリーランスで稼げている風を装いつつも、裏ではネズミ講のような組織と繋がっており、情報商材の購入やオンライサロン・講座の受講に誘導してくる場合もあります。
こうしたアカウントは数字をアピールしているほか、フリーランスになることのメリットや自己啓発といった耳障りの良いことを発信している一方で、あくまでも目指す人の自己責任であることを強調しているのが特徴です。
当然ながら、フリーランスはメリットだらけではないですし、むしろ多くの厳しい現実が待っています。
きらきらとしたフリーランス像をイメージさせて関心を持たせ、高額商材の購入をすすめてくる場合もあるため感化されないよう注意しましょう。
中抜きポジションの発信にも注意
個人のフリーランスを名乗りながらも、実は中抜きのポジションの人である場合もあります。
初心者へのアドバイスという体で「ライターはこうあるべき!」などと、対象を都合良く搾取するための発信をしているのが特徴です。
右も左も分からない初心者ならば間に受けてしまいかねないので、こうした発信を目にしたらすぐにミュートやブロックを行いましょう。
本当に参考になる発信者は、このような自分に都合が良く強い主張はしません。
これを多くの人が間に受けてしまえば、業界全体に悪影響(末端労働者があらゆる面で不利になる)が及びます。
以上のように、フリーランスは悪徳な人たちの絶好の標的であるという厳しい現実もあります。
フリーランスの厳しい現実を打開する唯一の方法
ご紹介してきた通り、日本におけるフリーランスは優れた人脈がなければほとんど消耗するだけで終わるでしょう。
ただ、視点を変えれば、人脈のないフリーランスでも生き残れる方法もあります。
その方法とは、英語などの他言語を学び海外の仕事を受けることです。
英語圏でもリモートワークの働き方が浸透しており、それに特化した求人サイトやクラウドソーシングサイトも存在します。
英語をしっかり学べば、そうしたサイトを通して日本にいながら海外の仕事を受けることが可能です。
海外ならば、日本のクラウドソーシングサイトのような買いたたきが横行していないほか、通常の単価さえ良い意味で桁違いです。
例えば、「Glassdoor」というサイトでは、2年の経験が必要となるものの時給25$(約3,500円)のWebライター案件が見られます。
もちろん、より高報酬の仕事も数多く存在します。
ただ、これだけで見ても、日本のクラウドソーシングサイトではまずお目にかかれない単価でしょう。
(そもそも、日本のWebライター案件の場合は時給の概念すらなく、「文字単価〇〇円」といった安く発注する裏技を突き詰めたかのような形になっています。。)
また、単価だけではなく、仕事の幅においても英語圏だけで日本以上です。
これからフリーランスを目指すのなら、間違いなく英語などの語学力は大きな武器になるでしょう。
むしろ、日本で消耗しないためには必須かもしれません。
フリーランスに興味があるのであれば、スキルの習得とともに英語などの語学を学ぶことを強くおすすめします。
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ちなみに、日本から海外の仕事をリモートで行う分には他国の就労ビザの取得は不要です。
まとめ
今回は、日本でフリーランスが厳しい理由と打開策についてご紹介しました。
- 日本のフリーランスの現状は、満足に収入を得られていない人が多い・中抜きと買いたたきが横行している・そもそもフリーランスが活躍できる土壌がない。
- SNSのフリーランスで稼げている風の人たちは、稼げている風を装ってみんなにフリーランスを目指してもらうことで得をする人たち。
- 人脈のないフリーランスが厳しい現実を打開するには、英語などの語学を学習して海外の仕事を受けられるようにするしかない。
前提として、現在正社員なのであれば、フリーランスを目指さずにそのまま正社員を継続していたほうが賢明です。
ブラック企業が約7割を占め、正社員でも重労働・低賃金で消耗する人が多い日本社会ですが、下手にフリーランスになるよりは恐らく多少は良いでしょう。
とはいえ、精神的に限界を迎え、どうしてもフリーランスになりたいという人もいるかもしれません。
そうであれば、フリーランスとして活動できるだけのスキルと英語などの語学をしっかり勉強し、万全の準備を整えた上で試みるようにしましょう。
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